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ホースセラピーから考える 「言葉」のないコミュニケーション

ホースセラピーという言葉を聞いたことがある。コミュニケーションというと「言葉」が前提にあるように感じるが、障がい者や心を閉ざした者でも心を開き、馬との関係性を築くことができるホースセラピーには「言葉」以前のコミュニケーションの本質があるのではないか。そう思い、ライター遠藤 綾とホースセラピストよりたかつひこ氏の記事を選んだ。

馬と人間の関係性を築く方法として、ジョインアップ技術がある。

 

男性は両手を上にあげて馬に向かって襲いかかるような姿勢で歩み寄る。馬は、男性から逃げようと円形の柵に沿って走り始める。(中略)その動作をしばらく続けた後に、急に男性が円の中心で両手を下げて目線を下げ、脱力した状態になる。馬は逃げるのをやめ、柵の近くで男性の様子を伺っているように見える。しばらく静止したままだった男性が、ゆっくりと馬のほうに歩み寄った。馬の頭の左横で男性が止まる。馬も静止している。一呼吸置いて、男性が円の中央方向へ動き始めると馬も男性にピタッとひっついたまま動き始める。

(中略)

コミュニケーションとは、ボールを投げて受け取ること。そのためには、相手がキャッチしやすいボールを投げ、相手をよく観察する。そんな基本型をわかりやすいかたちで体感できるのがジョインアップであると言えるだろう。馬と人との間でノンバーバルで表現されているが、人同士に置き換えても同様にコミュニケーションの基本型であることに変わりない。

相手を観察し、わずかな反応をとらえて、こちらも反応しボールを返す。その作業がコミュニケーションの基本であるという。しかし、現代社会の中で自分の心と身体が乖離してしまっている人が増えているのではないかという問に対して、

現代社会で大事にされているのは、反応ではなくて思考だから。でも、本当に大事なのは反応だと思うんです。教育は、思考から反応へシフトしていく必要があると思っています。それは具体的に何かというと、遊びです。遊びは反応の塊ですよね。たっぷり遊ぶ中で考えることを学べばいい。危ないところから逃げる。暑いから日陰に入る。こういうことも全部反応です。考えてやっているわけじゃない。反応は感受性や感性につながっていると思うんです。反応=感じて行動する、ということを子ども時代に大事にしていくことが大切だと思っています。

相手からのボールに対してすぐに反応できない時がある。それは自分の中で思考しているからだと思う。自分の発言に対して、「こう思われたらどうしよう」「的外れだったらどうしよう」そんなことを色々と思考して、正しい答えを探すように言葉を選ぶと、本当に自分が感じていたことが何だったのかわからなくなる。普段のコミュニケーションの場で「言葉」に頼りすぎて、相手の目や表情、しぐさ等、わずかな反応を見落としていないだろうか。きちんと相手を見て話し会えているだろうか。相手から受けたボールに対して、好き、嫌い、楽しい、うれしい等、自分の感受性や感性を大事に素直に反応していきたい。

遠藤 綾

やまのこ保育園 園長/ライター/編集者。
2005〜07年九州大学USI子どもプロジェクトで子どもの居場所づくりの研究に携わる。2008年から主に子ども領域で書く仕事、つくる仕事に携わりながら、インタビューサイト「こどものカタチ」を運営。2013〜16年 NPO法人SOS子どもの村JAPANで家族と暮らせない子どものための仕事に携わる。運営していたインタビューサイトをきっかけに山形県鶴岡市にあるスタートアップ企業に出会い、2016年に移住。2017年やまのこ保育園home、2018年やまのこ保育園を立ち上げ、現職。

[参照サイト]

馬先生 わからないものと出会うこと

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